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資生堂がBigQueryでデータ分析基盤を構築 – 80%のコスト削減を実現

NewsPilot編集部

資生堂は、Google CloudのBigQueryを活用したデータ分析基盤を構築し、80%のコスト削減を達成したことを発表しました。

化粧品業界は、コロナ禍によって人々の行動様式が大きく変化した業界の一つです。資生堂は、従来の短期的な売上増加を重視したビジネスモデルから、中長期的な視点で各消費者への理解を深め、収益を積み上げていくビジネスモデルへの転換を図っています。

そのために不可欠となるのが、これまで以上に詳細なデータ分析です。しかし、従来の資生堂には社内にデータ分析の専門チームがなく、データ処理や分析を外部に委託せざるを得ない状況でした。プロジェクトごとにデータ処理サービスを外部委託していたため、作業の重複が発生し、非効率なデータ分析環境に陥っていたのです。

そこで資生堂は、全社的に利用可能なデータ分析基盤を構築することを決定しました。POCの結果、処理速度、コスト削減、運用効率の向上、カスタマイズ性の高さといった要件を満たすGoogle Cloudの採用を決定しました。特に、BigQueryは処理性能とコスト削減の両面で魅力的であり、AI関連機能の豊富さもデータ活用という観点から高く評価されました。

新データ分析基盤の構築は、BrainPadが担当しました。特徴的なのは、アプリケーション層とインフラストラクチャ層を分離し、両方の層に共通のVirtual Private Cloud(VPC)経由でアクセスできる構成を採用した点です。これにより、将来的な事業部門によるアプリケーション層の利用や、資生堂グループ全体の情報システムとしてのインフラストラクチャ層の利用を見据え、柔軟性とセキュリティを両立させています。

開発における最大の課題は、既存のデータ処理プロセスをBigQueryに移行することでした。約3,000行にも及ぶ大規模で複雑なストアドプロシージャを、可能な限り自動化して移行するために、Google Cloudの移行ツールを活用しました。しかし、既存環境の複雑さから、自動変換できないプロセスは手作業で対応する必要があり、データの整理や統合にも苦労したようです。それでも、SQLとDataflowを活用することで、100TBを超えるデータの移行に成功しました。

2023年6月末にデータ分析基盤の本格稼働を開始した結果、期待以上の成果が得られました。サーバー統合によるストレージ容量の削減と処理効率の向上により、80%のコスト削減と90%の処理時間短縮を実現しました。

現在、資生堂はデータ分析基盤の第二段階として、処理性能のさらなる向上、外部データベース連携による提供サイクルの加速、Lookerとの統合によるデータ分析の民主化などを進めています。また、Vertex AIを活用したAI/MLによる分析の高度化にも着手しています。

第三段階として、Google Cloudと他のクラウドサービスを統合したマルチクラウド化も計画しています。BigQuery Omniを活用することで、異なるクラウド環境に分散されたデータの統合分析が可能になり、より高度なデータ活用が期待されます。

資生堂は、データ分析基盤の構築と活用を通じて、顧客一人ひとりに最適な美容体験を提供するというビジョンを実現しようとしています。データ分析基盤は、資生堂のデジタル変革を推進する上で重要な役割を担っていくでしょう。

参照元サイト:Shiseido: building a data analysis platform using BigQuery for 80% cost savings

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